福岡市の税理士(医療税務・開業支援)
グラント税理士事務所
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医療機関を運営するうえで避けられない仕事が「人事手続」です。
その中でも社会保険についての質問は多く、従業員が健康保険や雇用保険といった各種社会保険に加入できるかどうかという内容はよく受けます。
ということで、第1回目は医療機関における社会保険の加入義務についてまとめてご紹介します。
最も質問が多い人事関係
各種社会保険の加入義務の違いをおさえておきましょう!
まず、「健康保険」、「介護保険」及び「厚生年金保険」(この3つをあわせて、以下「健康保険等」といいます)の加入義務について説明を行います。
これらの健康保険等には、「事業所としての要件」及び「加入者としての要件」のどちらも満たす場合、加入する必要があります。
(1)事業所としての要件
次のいずれかに該当する事業所です。
※1 ただし、以下の業種は従業員が5人以上でも加入義務がありません
◆ 一次産業(農業、林業、水産業、畜産業)
◆ サービス業(飲食業、旅館、接客、理容業、クリーニング)
◆ 法務業(弁護士、税理士、社会保険労務士、行政書士)
◆ 宗教業(神社、寺院、教会)
(2)加入者としての要件
次のいずれかに該当する加入者です。
●(1)について
1つめの「事業所に係る要件」では、クリニックの運営形態が個人事業であるか医療法人であるかがポイントになります。
医療法人であれば、自動的に事業所としての加入要件を満たします。
個人事業形態であれば、従業員数が5人以上のときには加入義務を満たします。
●(2)について
「加入者としての要件」とは、その従業員がどのような勤務形態であるかによって、加入義務が発生します。
例えば、常勤の正社員として勤務していれば健康保険等へ加入しなければなりません。
しかし、短期雇用の場合では、その勤務形態が一定の時間を超えた場合に加入をすることとなります。
例えば、正社員の所定労働時間が40時間である場合、その3/4にあたる30時間以上の勤務を行えば、パートであっても健康保険等に加入しなければなりません。
このように、事業所の要件を満たし、かつ、従業員が加入者としての要件を満たせば、社会保険への加入義務が発生することとなります。
労災保険とは、仕事上や通勤上のけがや病気に対して、治療費の支払いなどを行う保険のことです。
この労災保険の加入要件は、以下のとおりです。
(1)事業所としての要件
(2)加入者としての要件
労災保険は、従業員を一人でも雇っていれば加入義務が発生します。
しかし、法人の役員や個人事業主といった経営者層は、「労働者」ではないため、加入義務がありません。
よって、法人の代表者がたった一人で事業を行っている場合や、個人事業を一人で行っている場合は、「労働者」が存在しないため、その事業所に労災保険の加入義務は発生しません。
クリニックであれば、看護師や受付事務の従業員を雇うのが通常ですので、労災保険には必ず加入しなければならないとおさえておくとよいでしょう。
雇用保険とは、従業員さんが失業した時や育児、介護などで勤務を継続することが困難になった場合に給付金を支給する保険のことです。
この雇用保険の加入要件は、以下のとおりです。
(1)事業所としての要件
(2)加入者としての要件
◆ 1週間の所定労働時間が20時間未満の人
◆ 同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない人
◆ 4ヵ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される人
◆ 学生である人(ただし、夜間学校を除く)
etc.(この他にも適用除外者あり)
雇用保険は、労災保険と同様に、従業員を一人でも雇っていれば加入する義務が発生します。
また、法人役員等の扱いも同様に、法人役員や個人事業主といった経営者には加入義務がありません。
ただし、従業員の扱いが労災保険とは異なります。
労災保険がすべての労働者を対象にしているのに対し、雇用保険では一部の従業員が加入を除外されています。
クリニックの場合では、1週間の所定労働時間が20時間以上の人かつ31日以上雇用されることが見込まれる人が、雇用保険の対象になると思っていただければよいでしょう。
例えば、一日3時間で週4回就業する従業員は、計算をすると週12時間勤務。
つまり、週20時間以上勤務しないため、この場合は雇用保険への加入義務が発生しません。
いかがでしたでしょうか。
社会保険は複数あり取り扱いも異なるため、加入義務がこんがらがってしまいます。
このページで一度整理してみてください。
皆さまの医院経営にこのコラムをぜひ役立ててください。
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