福岡市の税理士(医療税務・開業支援)
グラント税理士事務所
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医療機関を運営するうえで避けられない仕事が『給与計算』です。
給与計算の仕組みは、複雑でミスをすると従業員の不信感につながってしまいます。
給与計算をする際は、最低限の知識を持っておくことが必要です。
そこで、ここでは医療機関の給与計算を、複数回に分けて解説していきます。
第6回目は、総支給額からの控除項目についてご紹介いたします。
毎月の一大イベント 給与計算
給与から控除する項目をおさえておきましょう!
これまでに紹介をした総支給額の計算が終われば、給与計算完了まであと少しです。
総支給額から、控除項目を差し引けば、最終的な従業員さんの手取金額が算出されます。
賃金を支給するとき、賃金払いの5原則に全額払いの原則があるため、基本的には控除をすることができません。
しかし、以下の2つの項目は、例外として給与からの控除が認められています。
●(1)について
法定控除とは、法律により控除が認められているもので、具体的には、以下のようなものがあります。
●(2)について
労使協定による控除とは、会社と従業員の間であらかじめ協定を結んで控除を行うものです。
このとき、労働組合があればその労働組合と、労働組合がなければ社員の過半数を代表する者と書面で労使協定を結んでおかなければなりません。
具体的には、以下のようなものがあります。
労使協定に基づく控除は、個別に協定を結んで控除を行うものですので、給与計算で発生しないこともあります。
一方、法定控除については法律により控除が認められているので、基本的には、給与計算時に発生します。
ここからは、法定控除として認められているものを、一つ一つ紹介していきます。
まず、健康保険とは、業務以外の生活上のけがや病気になった場合に、治療費の一部を代わりに支払ってくれる保険をいいます。
誰しもが一度は病院で診察を受けるときに、利用したことがある健康保険証のことですね。
健康保険に加入している従業員さんは、毎月給与から健康保険料が控除され、事業所を通じて保険料のを支払います。
また、年齢が40歳以上になると、健康保険料に合わせて介護保険料も徴収されるようになります。
介護保険とは、介護が必要となった場合の介護サービスをカバーするための保険です。
健康保険料と介護保険料(合わせて以下「健康保険料等」とします)は、事業所が保険料の半分を負担するため、従業員は負担が軽減されています。
給与から控除される健康保険料等の保険料は、「標準報酬月額」に基づいて決定されます。
標準報酬月額とは、従業員の社会保険料決定のために使用される数値のことで、毎年7月10日までに従業員の社会保険料を決定する「算定基礎届」により決まります。
具体的には、毎年4月、5月、6月の給与の金額に応じて、等級に振り分けます。
この等級のことを「標準報酬月額」といい、1年間を通して健康保険料算定のベースとされます。
標準報酬月額は、年間を通じて同じ数値を利用するので、実務上、健康保険料等が毎月変化することはありません。
そして、控除をするときの具体的な保険料を求めるときは、「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を利用して算出します。
保険料額表の見方は、以下のとおりです。
上で見つけた「ぶつかる部分」が、従業員から控除を行う保険料です。
「介護保険第2号被保険者に該当しない場合」に該当するのは、40歳未満の方で、
「介護保険第2号被保険者に該当する場合」とは、40歳以上の方が対象になります。
例えば、下記の福岡県の表で30歳、標準報酬月額が240,000円の方であれば、給与から控除をする健康保険料は12,288円になります。
【リンク:平成31年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(福岡)】
厚生年金保険とは、高齢や障害、死亡の際に、本人や残された家族に年金を支給する保険のことです。
自営業者の国民年金保険を1階部分だとすると、この厚生年金は2階部分だとされていて、支払った厚生年金保険料に応じて、将来の年金が変動します。
健康保険料と同様、厚生年金保険料も事業所と半分ずつ折半されますので、従業員の負担軽減がされています。
また、毎月支払うべき保険料の決定も健康保険と同様で、標準報酬月額をもとに保険料が決まります。
よって、年間を通じて同じ標準報酬月額を利用するので、実務上、厚生年金保険料は毎月変化することはありません。
給与から控除をする保険料も、健康保険料と同様に「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を利用して算出します。
例えば、下記の福岡県の表で30歳、標準報酬月額が240,000円の方であれば、給与から控除をする厚生年金保険料は、21,960円となります。
【リンク:平成31年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(福岡)】
いかがでしたでしょうか。
総支給額の金額から控除項目を差し引くことで、最終的な手取金額が算出できます。
皆さまの医院経営にこのコラムをぜひ役立ててください。
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