福岡市の税理士(医療税務・開業支援)
グラント税理士事務所
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医療機関を運営するうえで避けられない仕事が『給与計算』です。
給与計算の仕組みは、複雑でミスをすると従業員の不信感につながってしまいます。
給与計算をする際は、最低限の知識を持っておくことが必要です。
そこで、今回から医療機関の給与計算を、複数回に分けて解説していきます。
第5回目は、休暇の取り扱いについてご紹介いたします。
毎月の一大イベント 給与計算
色々な休暇の取り扱いをおさえておきましょう!
従業員が有給休暇を取得した場合は、以下のいずれかの方法で給与計算を行わなければなりません。
そして、この計算方法は就業規則等に明記しておかなければなりません。
●(1)について
平均賃金とは、有給休暇を取得した日以前3ヵ月間にその従業員に対し支払われた賃金総額を、その期間の総日数で割ったものです。
【平均賃金の計算式】
●(2)について
通常賃金とは、その日に働いていたと仮定すると支払われていた賃金のことをいいます。
具体的には、従業員が月給者であれば、特別な控除をせず通常通り給与計算を行います。
従業員が時給者である場合は、従業員と契約をしている時給に、その日に働くはずであった時間を掛けて算出します。
その日に働くはずであった時間については、特に算定の決まりがありません。
●(3)について
標準報酬日額とは、健康保険の適用で使用している標準報酬月額を30日で割ったものです。
標準報酬月額とは、従業員の社会保険料決定のために使用される数値のことで、毎年7月10日までに従業員の社会保険料を決定する「算定基礎届」により決定がされます。
例えば、月給21万円の従業員の標準報酬月額(福岡県)は、200,000円、この標準報酬月額を30日で割って6,667円。
この金額を1日あたりの賃金とする方法です。
標準報酬日額を利用する場合は、労働組合または社員の過半数を代表する者と書面による協定を締結しなければなりません。
有給を取得した場合には、(2)の方法を用いて給与計算がされることが一般的です。
最近では、休診日がない、もしくは少ないクリニックが増えてきました。
そういったクリニックで、人員を上手くまわすためには「代休」と「振替休日」を利用する必要があります。
この代休と振替休日、似たような使い方をされていますが、実は内容が違います。
代休とは、休日労働をさせた後に、その代わりとして通常の労働日に休みを与えることをいいます。
この場合、労働日は休日労働をさせているので、割増賃金が発生します。
その代わりに休みとなる代休日の賃金は、支給が任意とされています。
よって、支給をしないという取扱いをすることもできます。
ちなみに、休日労働をさせた場合には、必ず代休を与えないといけないわけではありません。
労働基準法上、代休を与えるかどうかは事業所の任意であるとされています。
次に、振替休日とは、休日を労働日として、その代わりに労働日を休日として振り返ることをあらかじめ定めておくことをいいます。
代休との違いは、代休が休日労働をさせた事後に休みを与えるのに対し、
振替休日は事前に従業員へ通知をしておかなければなりません。
この振替休日を適用する場合には、就業規則で振替休日について定めておく必要があります。
振替休日を使用した場合には、休日労働をさせることになっても、その日は休日扱いにならず、
割増賃金は発生しません。
ただし、労働日が増えたことで1週間の労働時間が40時間を超えた場合には、時間外労働による割増賃金を支給しなければなりません。
ポイントをまとめると以下のとおりです。
(1)代休について
(2)振替休日について
上で紹介した休暇のほか、以下のような休暇が、労働基準法や育児介護休業法で定められています。
●(1)について
産前産後休暇については、労働基準法65条で
「使用者は六週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない」
と定められています。
●(2)について
育児休業については、育児介護休業法第6条に
「事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない」
と規定されてます。
●(3)について
介護休業は、育児介護休業法第12条に
「事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない」
と定められています。
つまり、これらの事項に該当する場合は、事業所として休暇を与えなければなりません。
では、休暇取得中の賃金は支給しなければいけないのでしょうか。
答えは・・支給してもしなくてもよい、つまり休暇中の賃金は事業所の任意であるとされています。
また、事業所独自の休暇を定めている場合の取り扱いはどうでしょうか。
この休暇のことは「法定外休日」といい、例えば、夏季休暇や慶弔休暇などがあります。
これらの休暇を取得した場合も、賃金を支給するかどうかは事業所が決めることができます。
とはいえ、Aさんに支給したが、Bさんに支給しないという方法は、合理的ではありませんので、
休暇の取り扱いについては、きちんと取り決めておくとよいでしょう。
いかがでしたでしょうか。
今回は第2回目で紹介した総支給額の計算で重要な「休暇」の取扱いについてご紹介しました。
総支給額の計算をするうえで、今回紹介したことを知っておけばより給与計算を理解できるはずです。
皆さまの医院経営にこのコラムをぜひ役立ててください。
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