福岡市の税理士(医療税務・開業支援)
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医療機関を運営するうえで避けられない仕事が『給与計算』です。
給与計算の仕組みは、複雑でミスをすると従業員の不信感につながってしまいます。
給与計算をする際は、最低限の知識を持っておくことが必要です。
そこで、今回から医療機関の給与計算を、複数回に分けて解説していきます。
第2回目は、給与計算を行う上で重要な『総支給額の計算方法』をご紹介いたします。
毎月の一大イベント 給与計算
総支給額の中身と計算方法をおさえましょう!
総支給額は『基準内給与』と『基準外給与』に分かれており、
給与計算を行う際には、この『基準内給与』と『基準外給与』を合計して、総支給額を算出します。
基準内給与とは、所定労働時間内に勤務した場合に支払われる給与のことで、この中には『基本給』や『手当』が含まれています。
基本給とは、給与の基本となる賃金のことで、ある一定の期間単位(通常は1ヵ月単位)で~円と定められています。
手当とは、通勤手当や役職手当、住宅手当など、従業員の個別事情に応じて支給される賃金のことです。
次に、基準外給与とは、基準内給与以外の給与をいい、具体的には時間外労働や休日出勤をした際の残業手当が含まれます。
基準内給与と基準外給与を、まとめると以下のようになります。
基準内給与は、月給者であれば、基本給や通勤手当などでほとんど毎月定額の計算になります。
時給者であれば、時間数に応じて、一時間~円という単価で計算がされることが一般的です。
一方、基準外給与は、勤怠状況により単価が割増となるので給与計算をする際は注意が必要です。
なぜなら、従業員が時間外労働や休日出勤、深夜労働を行った場合は、割増賃金を支払わなければならないからです。
よって、基準外給与の計算は、事業所側で一人一人個別に計算をしなければなりません。
時間外労働等を行った場合の、基準外給与の計算方法は、以下のとおりです。
ここで算出した「基準外給与」に「基準内給与」を合計して、総支給額を算出します。
ここからは、基準外給与の計算方法を解説します。
初めに、各従業員の一時間当たりの時間給を算出しましょう。
時給者であれば、一時間当たりの時間給がいくらと決まっているので、計算が簡単です。
その決まっている一時間当たりの時間給に割増率をかけて計算を行うだけです。
ここでは、時間単価の計算が必要な月給者の場合を解説します。
一時間当たりの時間単価を求める計算式は、以下のとおりです。
【月給者の時間単価を求める計算式】
まず『毎月支払われる賃金』とは、毎月定額で支払われる賃金のことで、基本給と手当を合わせた金額をいいます。
毎月定額で支払われる賃金ということで、毎月変動するような手当はこの計算に含まれません。
例えば、割増賃金の計算に含まれないものとして、具体的には以下のようなものがあります。
つまり、その人特有の事情に応じて支給される手当は、割増賃金の計算から外されます。
例えば、通勤手当については、どこに居住するかは従業員の勝手なので、その個別の事情で割増賃金の金額が上がるのは少しおかしいだろうという考え方です。
このように従業員の個別事情による手当は、割増賃金の計算対象から外しましょう。
次に、『平均所定労働時間』とは、労働基準法で規定されています。具体的な計算方法は以下のとおりです。
【平均所定労働時間を求める計算式】
まず、一年間の総日数365日から、就業規則に定められている休日を引きます。
その計算結果に、就業規則で定められている所定労働時間を掛けます。
所定労働時間は、クリニックであれば7時間から8時間で定められていることが一般的です。
最後に、12で割って平均所定労働時間が算出されます。
例えば、就業規則に定められている休日が124日(土日104日、祝日17日、年末年始3日)、所定労働時間8時間の場合、以下の計算になります。
【平均所定労働時間を求める計算式】
この平均所定労働時間で、毎月支払われる賃金を割って『一時間当たりの時間単価』が算出されます。
【再掲:月給者の時間単価を求める計算式】
次に、上の計算で算出された『一時間当たりの時間単価』に『割増率』を掛けます。
これで算出された金額が、その従業員の1時間当たりの残業単価です。
割増率は、勤怠の状況に応じて、それぞれ以下のように決まっています。
勤怠の状況 | 割増率 |
---|---|
時間外労働をさせた場合 | 25%以上 |
法定外休日労働をさせた場合 | 25%以上 |
深夜労働をさせた場合 ※深夜とは、午後10時から午前5時までの間をさします | 25%以上 |
休日労働をさせた場合 | 35%以上 |
深夜まで時間外労働をさせた場合 | 50%以上 |
時間外労働が60時間超の場合 (60時間超の部分が割増対象) | 50%以上 |
深夜まで休日労働をさせた場合 | 60%以上 |
深夜まで時間外労働かつ時間外労働が60時間超の場合 (60時間超の部分が割増対象) | 75%以上 |
例えば、一時間あたりの時間単価が2,000円で、時間外労働の残業時間が20時間の場合。
以下のような計算になります。
ここで計算がされた「基準外給与50,000円」に、基本給や手当といった「基準内給与」を足した金額が総支給額です。
いかがでしたでしょうか。
今回は、総支給額の計算についてご紹介しました。
総支給額の計算で基本的な部分を説明しております。
さらに詳しい内容も、当ホームページで紹介していますのでお時間がありましたら見ていってください。
皆さまの医院経営にこのコラムをぜひ役立ててくださいね。
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