【消費税の改正早わかり】特定期間について

【消費税の改正早わかり】特定期間について

何かと話題に上ることが多い消費税。

その消費税法に、平成23年度に大きな改正がありました。

今まで、消費税が課税されなかった医療機関にも、課税がされるようになる可能性がある改正です。

今回は、その消費税改正についてご紹介をしていきます。

今年は消費税払わなくてもいいんだって!

特定期間という概念ができたことにより
消費税が課税される事業者が増加しています!

医療機関への消費税

消費税法が医療機関に対して、どのような取扱いになっているか紹介します。

医療機関が行う保険診療行為について、消費税法では「健康保険法等に基づく療養、医療等としての資産の譲渡」として非課税としています。

なので、社会保険や国民健康保険を利用する診療については消費税が課税されません

患者さんから受け取る再診料720円などは消費税が含まれていないので、納税する必要はありません。

逆に、社会保険などを利用せずに診療行為を行った場合、いわゆる自費診療には消費税がかかります

例えば、以下のようなものがあります。

  • 健康診断
  • 予防接種
  • 市町村から委託を受けて行った検診

例えば、健康診断を行って患者さんから5,400円を受け取った場合は、このうち8%に対応する400円を消費税として国に納付する必要があります。

社会保険診療と自費診療では、消費税の取り扱いが異なっていることを知っておくとよいでしょう。

消費税を納税する義務

消費税は、すべての事業者に納付する義務があるわけではありません。

国民の三大義務では納税の義務が課されていますが、消費税は小規模な事業者について納税が免除されているのです。

消費税の納税をしなければならない事業者は、個人事業であれば2年前法人であれば前々事業年度(2期前)課税売上高が1,000万円を超えている事業者です。

なので、今から2年前の自費診療の合計が、1,000万円を超えているような場合に、消費税の納税を行うことになります。

しかし、社会保険診療をメインで行っている医療機関では、自費診療だけで1,000万円を超えることは稀で、納税が発生しないケースがほとんどです。

また、納税をする金額は2年前の金額を基準にするのではありません。

例えば、個人事業主で2年前の課税売上高が1,500万円、今年の課税売上高が900万円の場合。

消費税は、今年の課税売上高900万円に対しての分だけを納めます。

そして今年の課税売上高が900万円なので、個人事業であれば2年後、法人であれば翌々事業年度は、消費税を納める必要がありません。

つまり、消費税を納税するかどうかの判定は2年前の売上で行うが、納税する消費税の基準は今年度の売上です。

消費税を納めるかどうかの「納税義務の判定」と「納税額の計算」がそれぞれ別の期間になっているのでややこしいですね。

巷でよく聞く「開業をして2年間は消費税を払わなくてよい」や「法人化して2年間は消費税を払わなくてよい」といった話は、この仕組みがもとになっています。

特定期間という新しい制度

この仕組みに、平成23年度改正で新たな要件が追加されました。

「特定期間」というものが新設され、その特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合消費税を納付しなければいけなくなったのです。

特定期間とは、当課税期間の前年の1月1日(法人の場合は前事業年度開始の日)から6か月間の期間とされています。

つまり、前年の1月から6月まで又は前事業年度の開始日から6ヵ月以内を指しています。

先ほどは、個人事業であれば2年前、法人であれば前々事業年度が基準になっていましたが、その期間に追加がされるイメージです。

例えば、前年1月から6月の間に自費診療が多く、6か月間で課税売上高1,000万円を超えている場合。

今までは、消費税を納税しなくても良かったのですが、今後は消費税を納税しなければなりません。

この計算では、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

給与等の支払額とは、役員に支払う報酬や従業員に支払う賃金のことで、所得税の課税対象になるものをいいます。

つまり、給与計算時に源泉所得税の計算対象になるもので、通勤手当などの非課税所得は含みません。

最後に、医療機関の消費税を判定するためのフローチャートをのせておきます。

()個人事業の場合

 ①2年前の課税売上高が1,000万円以下である

  • YES → ②へ進む
  • N O → 消費税を納税しなければなりません

②1年前の1月から6月までの課税売上高が1,000万円以下である

  • YES → ③へ進む
  • N O → 消費税を納税しなければなりません

③1年前の1月から6月までに支払った給与等が1,000万円以下である

  • YES → 消費税を納税する必要はありません
  • N O → 消費税を納税するかしないかを選択することができます

()医療法人の場合

①前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下である

  • YES → ②へ進む
  • N O → 消費税を納税しなければなりません

②前事業年度開始の日以後6ヵ月間の課税売上高が1,000万円以下である

  • YES → ③へ進む
  • N O → 消費税を納税しなければなりません

③前事業年度開始の日以後6ヵ月間に支払った給与等が1,000万円以下である

  • YES → 消費税を納税する必要はありません
  • N O → 消費税を納税するかしないか選ぶことができます

いかがでしたでしょうか。

消費税の特定期間は、まだ歴史が新しいのであまり馴染みがないかもしれません。

しかし、前年や前事業度において大きな自費診療が生じた場合は注意が必要です

ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

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