医療機関には関係ない?医療機関の消費税ルール

医療機関には関係ない?医療機関の消費税ルール

何かと話題になることが多い消費税。

医療機関は消費税はあまり関係ないと言われていますがどうなのでしょう。

ということで、今回は医療機関にかかる消費税についてご紹介をしていきます。 

今年は消費税払わなくてもいいんだって!

医療機関では自費診療について消費税が課税されます。
消費税が課税される場合は、計算方法を検討しましょう!

医療に消費税は課税されるのか

日々行っている診療について消費税は課税されているのでしょうか

うちは消費税を払ってないよ、という医院も多いと思います。

消費税法では、医療機関が行う診療行為健康保険法等に基づく療養、医療等としての資産の譲渡に該当するとして消費税非課税取引しています。

よって医療機関で行う健康保険や国民健康保険を利用した診療については消費税がかかりません

逆に、健康保険などを利用せずに医院にかかった場合、いわゆる自費診療には消費税がかかます

例えば、以下のような診療には消費税が課税されます 

  • 健康診断
  • 予防接種
  •  診断書発行手数料
  •  主治医意見書発行手数料
  •  市町村から委託を受けて行った検診など
  •  その他自費診療 

しかし、これらの診療を行ったからといって、すぐに消費税が発生するわけではありません。

消費税が発生するのは、消費税の課税対象である売上年間1,000万円を超えた場合とされています

つまり、先ほどの自費診療の売上が合計して、1,000万円を超えると消費税が発生します。

消費税の課税がされる時期について1,000万円を超えた年または事業年度ではなく、翌々年(個人事業)または翌々事業年度(医療法人)に課税がされることになります

つまり、イメージとしては自費診療の売上が1,000万円と超えた2年後から消費税が発生します。

ややこしいですね・・ 

診療内容によって消費税の取り扱いが異なるため、診療科によって消費税が発生しやすい科目とそうでない科目がでてきます

例えば、乳児検診や予防接種が中心業務になりやすい小児科の先生方は、消費税の発生を覚悟しておかなければなりません。

一方、社会保険診療中心の内科では、ほとんど消費税は発生することがありません。 

余談ですが、消費税納付時の注意点があります。

融資の取り扱いですが、銀行は消費税納付資金を融資の対象とていません

消費税はあくまでも他者から預かっているお金なので、それに手を付けることは想定していないのです。

よって、消費税を払うときになってお金がなくても、銀行融資を受けることはできません

事前の納税準備はしっかりとしておきましょう 

消費税の支払い(原則課税制度)

消費税の計算方法には「原則課税制度」「簡易課税制度」の2種類があります

医療機関では、この2つの方法のいずれかを自院で選び適用しなければなりません。

もちろんどちらを選ぶかにより、消費税額には有利不利がでてきます。 

まず、「原則課税制度」とは患者さんから受け取った消費税から、薬品の購入などで支払った消費税を控除して消費税の計算をするものです。

計算方法は、シンプルで

  • 受け取った消費税-支払った消費税

という算式になります。

しかし、医療機関は社会保険を利用した診療に消費税がかかりません。

すると、患者さんから受け取る消費税から、薬品購入に支払った消費税などを差し引くと、大幅に消費税が戻ってくるのでは・・と考えられます。

しかし、「原則課税制度」には一つ落とし穴があり、支払った消費税の計算をするときには「課税売上割合」というものを掛けて算出しなければなりません。

この「課税売上割合」の計算式は以下の通りです。 

  • 課税売上割合=消費税が課される売上/(消費税が課される売上+消費税の非課税収入※1)

   ※1 社会保険で診療した収入が含まれます 

例えば、予防接種などの収入が1,000万円、社会保険を利用した収入が9,000万円である場合 

課税売上割合の計算は、1,000万円/(1,000万円9,000万円) 

となり、答えは0.1。つまり、課税売上割合は10%となります。

この課税売上割合の10%が支払った消費税に掛けられます。

よって、たとえ支払った消費税1,000万円あったとしても、そこに10%が掛けられた100万円しか消費税を差し引くことができないということです。 

社会保険診療を中心に行っているクリニックでは、薬品会社へ支払った消費税が多くても、消費税の計算上では有利な計算ができないということです。

消費税の支払い(簡易課税制度)

「簡易課税制度」は年間の課税売上高が5,000万円以下の中小事業者のみに認められている制度です。

具体的な計算方法は、患者さんから受け取った消費税に一定の割合を乗じて、消費税計算を行います

先ほどの「原則課税制度」との大きな違いは「原則課税制度」が薬品の購入などで支払った消費税を使用するのに対して、「簡易課税制度」では支払った消費税は計算上全く使用しません

医療の診療について「簡易課税制度」では、患者さんから受け取った消費税に対して、50%をかけた金額を支払った消費税とみなして計算をします。

つまり、計算で使用するのは「受け取った消費税」の金額のみです。

例えば、予防接種などの収入が1,000万円、社会保険を利用した収入が9,000万円である場合 

  • (1)1,000万円×880万円    ・・ 「受け取った消費税」を計算する。
  • (2)1,000万円×8%×50%=40万円 ・・ 売上をもとに「支払った消費税」を概算計算する。
  • (3)80万円-40万円=40万円    ・・ 「受け取った金額-支払った金額」が納付金額。 

という計算になります。実際はもう少し複雑ですが、ここでは簡略化してお伝えしています。

ちなみに一般的には、自費診療をメインで行う医院でなければ「簡易課税制度」の方が有利であるといわれています。

2つの計算方法をよく検討をして、ぜひ有利な方を選びましょう。 

いかがでしたでしょうか。

今回は、医療機関にかかる消費税についてご紹介しました

みなさまの医院経営にこのコラムをぜひ役立ててください。 

 

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