福岡市の税理士(医療税務・開業支援)
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医療機関を経営する中で、手伝ってくれている配偶者に報酬を払いたい!当然のことですよね。
しかし、配偶者へ報酬を支払うときには、税法上のルールがあり、ルールは個人事業の場合と医療法人の場合で違いがあります。
今回は、配偶者に支払う報酬についてご紹介をしていきます。
配偶者への報酬支給にはルールがあります。
個人事業と医療法人ではルール異なりますので
確認をして支給しましょう!
個人事業の医療機関で、配偶者へ報酬を支払うときには「専従者給与」という扱いになります。
専従者給与とは、事業に専従してくれている配偶者への労働の対価のことで、配偶者が実際に医院へ出勤をして実務を行ったことに対する報酬です。
支給を行う上では、勤務日数について決まりがあり、その年を通じて6月を超える期間(事業に従事できる期間の2分の1を超える期間)の労働が必要になります。
専従者給与を支払うときは、支給を行う金額の上限を記載した届出書を税務署へ提出しなければなりません。
さらに、支払った金額を経費にするためには、実際に支払いをする必要があります。
つまり、「未払い」という経理方法はできませんので、実際に支給しなければいけないと覚えておきましょう。
また、配偶者への賞与についても同様で、届出書を提出していれば、届出書を提出した上限内で支給が認められます。
医療法人で、配偶者に対して報酬を支払うときは「役員報酬」という取扱いになります。
もちろん一般の従業員としての給与を支払うことも可能ですが、医療法人の役員として勤務してもらうことが一般的でしょう。
役員報酬とは、職務の委任契約の対価のことをいいます。
委任契約とは、医療法人から役員が何らかの職務を委任されていて、その職務を遂行することで報酬が発生するというものです。
例えば、「理事会に出席をして医療法人経営に参画をすること」を委任されている場合は、実際に理事会に参加して50万円の報酬を受けるといった具合です。
なので、専従者給与と異なり、具体的な労働に対して、報酬が発生するものではありません。
この役員報酬を支払うためには、「社員総会の決議」や「定款の定め」において決定がされる必要があります。
役員報酬の支払時には、税務署への届出は必要ないのですが、社員総会で決議を行ったという議事録が、税務調査時などにチェックされますので作成しておきましょう。
また、役員報酬には、事業年度中は定期同額にしなければ経費にならないというルールがあります。
定期同額とは、毎月同じ金額をずっと支給しなければならないということ。
つまり、1年に1度役員報酬を決めたなら、その後、約1年間はずっと同じ報酬です。
これは、事業年度の途中で、好き勝手に役員報酬を変更して利益調整をしないために取り決められています。
また、役員報酬については実際に支給をしていなくても、支払いが確定しているものは未払計上を行って支払う前に経費にすることができます。
役員への賞与については認められていません。
しかし、「事前確定届出給与」という、税務署への届出を事前に提出していれば、臨時的に支給ができる報酬はあります。
定期同額給与以外の支給を行う場合は、事前確定届出給与を検討することをおススメします。
専従者給与 | 役員報酬 | |
---|---|---|
報酬の性質 | 労働の対価 | 委任契約 |
税務署への届出 | 必要 | 不必要 |
賞与の支給 | 認められる | 認められない |
経理方法 | 現金支給が必要 | 未払経理ができる |
専従者給与と役員報酬の違いを表にまとめてみると、以上の通りです。
両者の大きな違いとしては3点あります。
1つめが、専従者給与が労務の対価であることに対して、役員報酬は委任契約であるということ。
個人事業の専従者給与においては、「経理をしている」、「人事関係の手続き」をしているなどの具体的な実務を行っていることが必要です。
よって、税務調査では、配偶者がどのような業務を行っているのかが確認されます。
しかし、役員報酬については労働の対価ではなく委任契約なので、具体的な労働が必要ではありません。
支給できる金額についてはいくらでも支給できるわけではなく、専従者給与では業務の内容に応じて、
役員報酬では委任された職務に応じて、合理的な金額が経費となります。
2つめは、専従者給与には事前に税務署への届出が必要であることに対し、役員報酬は医療法人内の社員総会の決議や定款の定めによって決定をすることができるため、税務署への届出は必要ありません。
ただし、賞与のような臨時的な支給を行うときは、医療法人であっても届出書の提出が必要です。
3つめは、今回のコラムの本筋からは離れますが、個人事業では退職金の支給が認められないのに対し、医療法人では退職金の支給が認められます。
退職金は、税法上、退職所得に該当し、節税の効果が非常に高い取扱いになっています。
これが、医療法人へ移行する際の大きなメリットの一つであるといわれています。
いかがでしたでしょうか。
今回は配偶者へ支払うことのできる報酬についてご紹介しました。
配偶者へ報酬を支給することで、所得が分散され節税にもつながりますので、検討してみてください。
皆様の医院経営にこのコラムをぜひ役立ててください。
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