福岡市の税理士(医療税務・開業支援)
グラント税理士事務所
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老後の年金だけでは2,000万円足りない。
そんなことが言われる時代にこそ、医療法人制度を利用して将来への備えをしましょう。
実は、医療法人とは将来の備えをするために適した制度です。
今回は、将来に向け医療法人を利用したほうが良い理由についてご紹介していきます。
ライフプランを考えてみませんか
医療法人には
お金を蓄えることのできる制度が準備されています!
退職金の準備ができることは、医療法人に移行する際の最も大きなメリットだといえます。
まず、個人事業で経営をする医院では、退職金が支給できません。
しかし、医療法人に移行をすると代表者に退職金を支給することができます。
そして、退職金とは将来の老後への備えという役割があるため、税制上の大きな優遇を受けています。
退職所得控除とは、退職金の計算上「税金がかからない部分」のことです。
具体的には、以下の計算式で、計算をした金額を退職所得から差し引くことができます。
さらに、税金の計算では退職所得に「×1/2」を掛けて計算をするため、大きく税額を減らすことができます。
退職金に対する税金の計算式と具体的な計算例を見てみましょう。
【退職金にかかる税金の計算式】
例えば、医療法人の理事長を25年務めて、退職金1億円を支給された場合。
(1)退職所得控除の計算
(25年-20年)×700,000円+8,000,000円=11,500,000円
(2)退職所得の計算
(100,000,000円-11,500,000円)×1/2=44,250,000円
(3)退職所得に対する税金
退職金1億円に対して、約19,500,000円の税金ですので、実質の税率は19.5%。
通常の所得計算に比べて、非常に低率に抑えることができています。
ただし、役員としての勤続年数が5年以下である方が、退職金を受け取る場合は上記計算式の「×1/2」という計算はできません。
これは、短期間で、入職と退職を繰り返す公務員の天下りに対して、税制の優遇を利用するのはおかしいという意見を受け、改正されたものです。
ご注意ください。
さらに、医療法人の利益に対する実効税率は30%以下と低率です。
個人事業であれば、所得税と住民税を合わせて最大税率55%の税負担。
税率の低い法人税を支払って医療法人にお金を貯める。
退職までに貯めたお金を、税率の低い退職金で支給して、将来の蓄えにするのは非常に効果的であるといえます。
2つめの医療法人の大きなメリットは「生命保険を必要経費にすることができる」ことです。
個人事業では、生命保険料をいくら支払っても最大120,000円までしか控除をすることができません。
医療法人であれば、加入する保険契約や内容により支払った生命保険料の「全額」、「1/2」、「1/4」といった一定金額を経費にすることができます。
「医療法人への法人保険は節税になる」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
そういわれる理由は、医療業の経営環境にあります。
医療法人は、毎期の売上や利益が他業種に比べてあまり変動しません。
飲食業や建築業などは一時的な売上の増減が起こる一方、馴染みの患者さんが来院する医院では、売上が大きく変動しません。
この医院の特徴が、生命保険を利用した節税に対し非常に効果的なのです。
生命保険は一度加入すると解約をするときまで支払いをし続けなければなりません。
「当期は保険料が支払えたけど、来期は支払えない」といったことはできないので、収入に大きな変動がなく、将来の見通しが立ちやすい医療法人に生命保険は適していると言えます。
生命保険の中には、解約をすると支払った保険料の金額分くらいが戻ってくる商品もあります。
そして何より、生命保険の本来の役割であるリスクに対する備えもできるというメリットもあります。
収入が上がっているうちは、この生命保険を利用した節税を行って、貯まったお金を、退職金で受け取ることができれば、効果的な将来の備えになるでしょう。
老後2,000万円足りない。
将来、もらえる年金額は減りそうですが、公的年金制度は日本の大事な社会的扶養制度です。
財源については不透明ですが、日本国が支払う制度であるということで、民間の生命保険会社より信頼性が高いと言えます。
この公的年金は「もらえない」よりは、「もらえる」ほうが間違いなく良いと思います。
個人事業で医院経営を行っている場合、事業主は社会保険の二階部分である『厚生年金保険』に加入することができません。
しかし、医療法人であれば、理事長などの役員であっても厚生年金保険に加入することができます。
厚生年金保険とは、国民年金に上乗せをされる年金のことです。
支給される金額は、現役時代に支払った金額に基づいて支給がされるので、自分の報酬次第で将来の年金を増やすことが可能です。
さらに、厚生年金の支給要件は、老齢基礎年金の要件※1を満たしていれば、被保険者である期間が1ヵ月以上で支給を受けることができます。
※1 保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上あること
つまり、年金を受け取るギリギリの年齢で医療法人となり厚生年金保険に加入したとしても、支払った分の厚生年金保険料は、将来の年金に反映がされます。
平均寿命は年々伸びていますので、引退した後の収入源として、死ぬまでもらえる公的年金は必須ではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。
今回は医療法人を利用して将来の備えを行う方法をご紹介しました。
医療法人への移行を考えるうえでは、医療法人だけではなく事業主個人という観点からも検討しなければなりません。
皆様の医院経営にこのコラムをぜひ役立ててください。
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